ちょっとしたアクシデントを通して

ネタバレあるのでたたみます。


本日、夜の部の4つ目のコントで、賢太郎さんが右膝を負傷しました。
暗転している時に「痛!」という声が聞こえ、その後の暗闇がけっこう長く続いたので、これは何かあったのだな、と素人目に見てもわかりました。
明るくなった時、本来は大きな動きのある場面だったにも関わらず、足を引きずり、思うように動けていない賢太郎さんを見て、本当に痛いのだろうなと思いました。
幕間での次のコントへの準備も、いつもなら賢太郎さんがやっているのに、5つ目のコントの準備はスタッフがしていました。
応急処置に時間がかかっているのか、幕間の曲が2巡目に入り、不穏な空気に包まれる会場内。
そして、薄明かりから明転するはずなのに、暗闇からいきなり始まる5つ目のコント。
足を引きずって舞台に登場する姿を見せたくないのかもしれない、という意地を感じました。
5つ目のコントは大きな動きがないからまだしも、最後のコントはけっこう動きがある。
どうするのだろう。
最後のコントの準備は、仁さんがしていました。
箱を置く位置が不安でたまらず、挙動不審になる仁さん。
そして、明るくなったのですが、2人は舞台の上にはいませんでした。
ゆっくり、2人で姿を現す。
「まだ終わらせねぇよ!」という賢太郎さんは、膝を負傷したこと、その膝はずっと抱えていた古傷であること、いつもなら30分ぐらいで回復すること、でも、今はいつも通りの動きができないこと、そして、それを申し訳なく思っていることを説明してくれました。
「でも、次の、最後のネタは、ストーリー的にどうしても観てほしいものなので。」そう言って、最後のコントを始めました。
その一言を聞いて、本当に、涙が出そうになりました。
この最後のコントへの彼らの思い入れを知ることができました。
ラストシーン前の暗転時に、「大丈夫?」と舞台上で聞く仁さんの声が聞こえたような気がして(アダグジの幻聴かもしれんが)、また、ぶわっと涙が出そうになりました。

            • -

はっきり言って、台本とほぼ同じ動きでコントができないのは、芸人の単独公演としては致命傷だと思う。
舞台として成立しないのであれば、公演中止、払い戻しの上振り替え公演を行うべきである。
しかし。
最後までやり遂げたのは、もう終盤までさしかかっていたこと、何より、土曜日ということもあり、遠征の人などの「今日しか観られない」人が多かったということを考えたからなのではないかと思った。
今日この時の舞台は今この瞬間しかなくて、その瞬間に立ち会うことができたお客にのみ、不十分な動きかもしれないけれども、演技したいという賢太郎さんの意向だったのかな、と思う。

今回のアクシデントは、彼らの関係性を「試される大地」であるところの北海道で試されたのかな、などと思った。
負傷のアクシデント以外にも、暗転の時の慰める姿(セリフ飛ばし時の暗転の時)やハイタッチなど、互いを思いやる場面が垣間見られたので、ファンとしては安心した。
「みんなに心配されてる俺」に酔いしれている賢太郎さん、というチクリと皮肉を言ってやりたい場面も見られたりしたのですが、それを差し引いても、好きだ、今後も生暖かく見守りたいと思いました。
嗚呼、明日の最終日のチケットが取れなかったのが本当に悔やまれる。
とにもかくにも、今日の賢太郎さんの負傷が最小限で済み、できるだけ無事に全公演を終了できることを願っています。